電気料金を見直したいと考える企業や店舗にとって、契約電力は重要です。実は、電気の使用量を減らさなくても、契約電力を下げることで電気料金を削減できます。この記事では、そもそも契約電力とは何かに始まり、仕組みや見直しのポイントについても詳しく解説しているので参考にしてください。
そもそも契約電力とは
企業や施設などが電力会社と取り交わす基本契約の中でも、とくに重要な項目のひとつです。電気料金の削減のために、詳細について知っておきましょう。契約電力とは
契約単位で同時に使用できる最大電力量のことです。照明・空調・機械設備など、すべての電気機器を一斉に稼働させたときに必要となる電力の上限値を想定し、その最大値を基準として設定します。企業では、過去の使用実績や稼働状況をもとに算定し、それを基準として電気料金の基本料金が決まります。したがって、契約電力を正しく把握・管理することは、コスト削減にも直結します。
3つの区分
電力の契約は、電力の使用規模や供給方法によって「低圧」「高圧」「特別高圧」という3つに分類されます。低圧電力契約は50キロワット未満が対象で、一般家庭や小規模店舗、飲食店などが該当します。低圧契約ではアンペア数などによって内容が決まり、手続きも比較的かんたんです。一方、高圧電力契約は50キロワット以上 2,000キロワット未満の中規模事業者向けで、中小ビルや工場、医療施設などが対象となります。
さらに、2,000キロワット以上の大規模事業所は特別高圧契約に分類され、デパートや大規模工場、オフィスビルなどがこれに該当します。
契約電力の決め方
契約電力をどのように決めるかは、低圧・高圧・特別高圧のそれぞれで算定方法が違います。ここでは、その代表的な方法について解説します。低圧電力契約
低圧電力契約では、主開閉器契約と負荷設備契約という方法があります。主開閉器契約は、メインブレーカーの定格電流をもとに契約電力を決定する方式です。設備使用量などによってブレーカーの容量を設定できるため、余分な契約電力を避け、基本料金の無駄を抑えやすい点が特徴です。ただし、ブレーカー容量を小さく設定し過ぎると、複数の機器を同時に使った際に電源が落ちる可能性があります。
一方、負荷設備契約は、使用する電気設備の定格容量の総量で算出する方法です。すべての機器を長時間稼働させるような工場や事業所などに向いています。電力不足にはなりにくいですが、稼働時間が短かったり、日によって使用する設備が異なったりする施設では基本料金が高くなる傾向があります。
高圧・特別高圧契約
高圧電力契約では、30分ごとの平均使用電力が、1か月間でもっとも高かった「最大需要電力」を算出して決定する方法が採用されます。そのため、一時的に電力を大量に使用した場合、その記録がベースとなってしまい、翌年まで高い基本料金が続くケースがあるので注意が必要です。また、高圧および特別高圧電力の契約では、電力会社と話し合い設定する方法もあります。契約電力を超過して電力を使用した場合には、違約金が発生するため、需要の予測と管理を慎重に実施しなければなりません。
また、設置している変圧器の容量で決めるケースもあります。変圧器は、発電所からの電力を施設で利用できる電圧に変換する装置であり、設備規模と使用実態に見合った電力量が確保できます。
契約電力を下げる方法
契約電力を減らすことは、電気料金を抑えるための有効な手段のひとつです。使用電力量に関係なく毎月発生する固定費であるため、削減できれば毎月のコストを継続的に削減できるでしょう。ピークカット
ピークカットとは、電力使用量がもっとも多くなる時間帯に消費を抑え、30分間平均使用電力の上昇を防ぐ施策です。これを抑えられれば、次の契約更新時に契約電力を引き下げられます。結果として基本料金の削減につながり、さらに総使用電力量の低減にも効果的です。契約電力が過去12か月の最大需要電力によって決まる方式であった場合、瞬間的に大量の電力を消費して最大需要電力が上昇していると、その値が基準となってしまいます。
「デマンド監視装置」や「デマンドコントローラー」を活用することで、最大需要電力に近づいたときに対応できるため、価格上昇を防ぎやすくなります。
ピークシフト
消費電力が集中する時間帯の稼働をずらし、電力使用を分散させる方法です。たとえば、夜間の電力需要が少ない時間帯に蓄電池を充電し、日中の需要ピーク時には蓄電した電力を使うことで使用量上昇を防ぎます。設備の稼働時間を調整できる企業やピークカットがむずかしい工場などでも導入しやすい方法です。