電気代の高騰や脱炭素への意識の高まりを背景として、これまで以上に企業の電力管理が重要視されています。そのなかで注目を集めているのが「デマンドコントローラー」です。
デマンドコントローラーは電気の使い過ぎを防ぎ、経費削減につながります。しかし、自社に合った機器の選び方がわからず、導入を迷っている企業は少なくありません。
本記事では、デマンドコントローラーの基本から失敗しない選び方まで丁寧に解説します。
目次
デマンドコントローラーとは?
デマンドコントローラーとは、企業や施設における電力使用量を常時監視し、契約電力を超えそうになった際に警告や制御を行う装置のことです。デマンド(demand)は、英語で「需要」や「要求」を意味しており、30分間の平均使用電力(kW)をデマンド値と呼びます。一般的な電気料金は「基本料金」「「電力量料金」「燃料調整費等」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の4要素で構成されています。電力会社は、最大デマンド値をもとに基本料金を算出します。そのため、一時的な電力の使い過ぎでも、翌月以降の電気代が高くなる可能性があります。
デマンドコントローラーは、この最大デマンド値を抑えることで、電気代の削減をサポートする役割を果たします。
デマンドコントローラーのメリット
デマンドコントローラーのメリットをわかりやすく解説します。企業の消費電力を見える化
デマンドコントローラーの大きな特長のひとつが、消費電力の「見える化」です。現在どれくらいの電力を使用しているのか、契約電力に対して余裕があるのかをリアルタイムで把握できます。電力使用状況が可視化されることで、無駄な電力使用に気づきやすくなり、社内の節電意識向上にもつながります。担当者の勘や経験に頼らず、数値に基づいた電力管理が可能になる点は大きなメリットです。
電気代節約に貢献
電気料金は、使用量に応じた従量料金だけでなく、最大デマンド値によって決まる基本料金が大きな割合を占めます。たとえ普段の使用量が少なくても、ピーク時に電力を使い過ぎると基本料金が引き上げられてしまいます。デマンド値が上がる要因のひとつが、空調機器です。デマンドコントローラーを空調設備に接続することで、あらかじめ設定した温度から上がらないように自動で調整してくれます。
デマンドコントローラーの導入により、ピーク時の電力使用を抑制し、結果として基本料金の削減が期待できます。とくに、電力使用が集中しやすい工場やオフィスビル、商業施設では、効果を実感しやすいでしょう。
デマンドコントローラーとデマンド監視装置の違い
デマンドコントローラーと混同されやすい設備として「デマンド監視装置」があります。デマンド監視装置は、電力使用状況を計測・表示することに特化した装置の総称です。主に現状把握の役割を担っており、あらかじめ設定したデマンド値を大きく超えそうなタイミングで管理者に通知を行います。管理者は個別で使用電力の調整を行う必要があります。
一方、デマンドコントローラーは、監視に加えて制御機能を備えている点が大きな違いです。契約電力を超えそうになった場合に、警告を出したり、あらかじめ設定した設備の稼働を自動で制御したりできます。
単なる把握にとどまらず、電力使用を抑える自動制御機能が搭載されている点が両者の大きな違いといえるでしょう。
デマンドコントローラーとデマンド監視装置はどちらがおすすめ?
どちらが適しているかは、企業の規模や電力管理体制によって異なります。まず、電力使用状況を把握できていない企業や、節電の第一歩として導入したい場合は、安価に導入できるデマンド監視装置が向いています。現状を知ることで、無駄な電力使用を見直すきっかけになります。ただし、あくまでも警報を発するだけであり、対応が遅れると効果が出ない可能性もあります。導入にあたっては手動制御を行うスタッフや共有方法をあらかじめ決めておくことが大切です。
一方で、すでに電力使用量が多く、ピーク電力の抑制が課題となっている場合は、デマンドコントローラーの導入がおすすめです。とくに、大型商業施設や大規模なオフィス・工場だと、警報ごとに手動での対応が困難になりやすいため、自動制御できるタイプが最適です。自動制御によって人為的なミスを防ぎ、安定した電力管理を実現しやすくなります。
ただ、当然ながらデマンド監視装置よりもコストは高くなります。自動制御による強制的な操作を繰り返した結果、設備の寿命が縮んでしまうといった影響も考えられます。
導入にあたっては、費用対効果や現状の設備、社内での共有方法なども含めて、総合的に判断することが大切です。
デマンドコントローラーの選び方のポイント
デマンドコントローラーを選ぶ際は、単に価格だけで判断せず、自社の運用に合った機能を備えているかを確認することが重要です。データ閲覧機能の有無
過去の電力使用データを閲覧できる機能があると、傾向分析や改善策の検討に役立ちます。時間帯別や日別、月別にデータを確認できると、電力使用が集中しやすいタイミングを把握しやすくなり、ピークを分散させるといった対策を行うことができます。また、機種によっては、データ閲覧権限の範囲が異なります。設置した事業所でのみ確認できるものと複数の事業所で共有できるものとさまざまなので、運用方法に合わせて選ぶといいでしょう。
設置のしやすさ
設置工事の規模や既存設備との相性も重要なポイントです。大掛かりな工事が必要な場合、工期が長くなり事業に影響を及ぼす可能性もあります。デマンドコントローラーには、大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類がありますが、クラウド型であれば簡単な工事で設置することができます。工期も短く、設置工事費は安い傾向にあります。
警告方法
デマンドコントローラーには、さまざまな警告方法があります。アラーム音やランプ表示、メール通知など、現場の状況に合った方法を選ぶことが重要です。警告が分かりにくいと対応が遅れてしまい、十分な効果を得られない可能性があります。誰が見てもすぐに気づける仕組みかどうかを確認しましょう。
機能の拡張性
将来的な設備増設や運用変更に対応できるかどうかも、選定時の重要なポイントです。拡張性のある機種であれば、長期的に活用しやすくなります。お試しで手動制御タイプのデマンド監視装置を導入し、必要に応じて自動制御のデマンドコントローラーを追加するのもひとつの手です。また、機種によっては、個別系統ごとに計測できる種類もあります。個別で計測できるようになると、より効果的な節電対策が講じられるようになります。
電気の使用実績を計測・記録する機能の有無
デマンドコントローラーはあくまでも最大電力を抑えることを目的としており、電力消費量そのものの削減には影響していません。しかし、電力使用実績を自動で記録できる機能があれば、報告資料の作成や省エネ対策の効果検証がしやすくなります。その結果をもとに、使用頻度の見直しや省エネ機器への刷新といった具体的な対策を検討することができます。最大デマンド値の低減につながり、電力消費量そのものの削減にも期待できます。
まとめ
デマンドコントローラーは、企業の電力使用状況を把握・制御することで、最大デマンド値の低減をサポートする装置です。一般的な電気基本料金は、最大デマンド値にもとづいて算出されます。デマンドコントローラーの導入により最大デマンド値が抑えられることで、電気代の節約につながります。デマンドコントローラーは、機種によって機能や拡張性、設置のしやすさなどが異なります。導入にあたっては、企業規模や費用対効果、電力管理体制も踏まえて、慎重に判断することが重要です。
本記事が参考になれば幸いです。